■
私たちはスーパーマーケットで暮らしていた。
スーパーといったら、どこも同じようなものだ。
四角い店の中に、綺麗に棚が並んでいる。
しかしここでは違った。
店内一つ一つにそれぞれ個性があった。
色々なスーパーを渡り歩き、寝泊りし、店のものを食べて暮らした。
皆がそうしていた。
定住はしない。
しばらく居たら、別のスーパーへ移る。
スーパーからスーパーへの移動は、移動に使うために自分たちが持っているバスを使った。
目的地のスーパーに着くまでは、バスの中で暮らした。
あるスーパーに居た時。
そこは薄暗く、緑と紫の照明が灯り、黒っぽい布がたくさん垂れ下がった天井の低い店だった。
立つと、背の高い人間は頭がついてしまうくらい?だった。
かがんで生活しなければいけないくらいだったかもしれない。
そこで生活し始めたばかりの頃だった。
外で銃撃戦が始まった。
誰と誰がなぜ戦っているのかはわからない。
関係のない私たちは店の中で過ごし、外にいて同じく関係のない人々は大きな荷物ロッカーの中に隠れた。
店の中は安全だったが、ロッカーは銃で撃たれていた。
ロッカーから引きずり出されて、撃ち殺されている人もいた。
私たちは店を出て、遠くに逃げることにした。
父親の知り合いで、仲間の人達が迎えに来てくれた。
バスに乗り込み、店を脱出した。
外は戦いでめちゃくちゃになっていた。
戦いをしている人々は、私たちには興味がなかったらしい。
銃弾が飛び交い、壊れていく街を眺めながら、私たちはそこをバスで通り過ぎた。