私たちはスーパーマーケットで暮らしていた。

スーパーといったら、どこも同じようなものだ。

四角い店の中に、綺麗に棚が並んでいる。

しかしここでは違った。

店内一つ一つにそれぞれ個性があった。

色々なスーパーを渡り歩き、寝泊りし、店のものを食べて暮らした。

皆がそうしていた。

定住はしない。

しばらく居たら、別のスーパーへ移る。

スーパーからスーパーへの移動は、移動に使うために自分たちが持っているバスを使った。

目的地のスーパーに着くまでは、バスの中で暮らした。

あるスーパーに居た時。

そこは薄暗く、緑と紫の照明が灯り、黒っぽい布がたくさん垂れ下がった天井の低い店だった。

立つと、背の高い人間は頭がついてしまうくらい?だった。

かがんで生活しなければいけないくらいだったかもしれない。

そこで生活し始めたばかりの頃だった。

外で銃撃戦が始まった。

誰と誰がなぜ戦っているのかはわからない。

関係のない私たちは店の中で過ごし、外にいて同じく関係のない人々は大きな荷物ロッカーの中に隠れた。

店の中は安全だったが、ロッカーは銃で撃たれていた。

ロッカーから引きずり出されて、撃ち殺されている人もいた。

私たちは店を出て、遠くに逃げることにした。

父親の知り合いで、仲間の人達が迎えに来てくれた。

バスに乗り込み、店を脱出した。

外は戦いでめちゃくちゃになっていた。

戦いをしている人々は、私たちには興味がなかったらしい。

銃弾が飛び交い、壊れていく街を眺めながら、私たちはそこをバスで通り過ぎた。